環境にやさしい世界最高レベルの省エネ工場

東燃ゼネラルグループでは、製油所と石油化学工場の省エネ活動において、業界をリードする先進的な取り組みを実施してきました。その結果、当グループの省エネ実績は常に業界のトップクラスで推移しています。高効率な工場オペレーションを通じて環境負荷低減に努めています。

東燃ゼネラルグループのエネルギー効率

2016年6月、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)に基づく経済産業省資源エネルギー庁による平成27年度定期報告において、省エネへの取組が進んでいるかを判断するベンチマーク指標の達成事業者が公表され、東燃ゼネラル石油株式会社、極東石油工業合同会社(2015年7月1日付で吸収合併)、東燃化学合同会社の東燃ゼネラルグループ3社が、省エネ法に基づくエネルギーベンチマーク達成事業者に認定されました。当グループの製油所・工場が国内で高効率に運営されていることが公的に認められている証です。これらのベンチマーク指標に基づいて、当社4工場の平均エネルギー効率および東燃化学のエチレン製造装置のエネルギー効率を、日本国内の製油所やエチレン装置の平均値と比較すると、温室効果ガスであるCo2の排出抑制効果は、年間50万トンを上回ることになり、これは一般家庭のCO2排出量に換算すると約10万世帯分*に相当します。
このように当グループは、世界トップレベルのエネルギー効率を達成していますが、さらに温室効果ガスの排出量削減のため、より一層の省エネ努力を継続しています。中期経営計画においては、年率1%の改善という省エネ目標を掲げており、これは年間5万トンのCO2排出量削減に相当します。

  • 国立環境研究所のデータをもとに算出

省エネを可能にしている仕組み

(1)エナジーリーダーの任命

省エネを進めるためには、エネルギー効率を高めるための設備投資が重要です。こうした投資を当グループでは継続的に進めてきました。そうしたハード面での取り組みとともに、ソフト面でのさまざまな取り組みこそが、世界でトップレベルの省エネ実績につながっていると考えています。
ソフト面での取り組みを一言でいえば、グループ一丸となった省エネへの取り組み体制をあげることができます。当グループでは、製造技術本部に、グループ全体の省エネ活動を統括するリーダーを任命しています。このリーダーは、省エネ活動の戦略・目標設定、そのフォローアップを統括するだけでなく、どのようにしたら一層の省エネが実現可能かについての、技術的なアドバイザーとしての役割も担っています。
このグループ全体を統括するリーダーとともに、各工場にエナジーリーダーを任命しています。各工場のリーダーには、工場内で権限・影響力を持つ幹部管理職を当てることで、工場内での実行が確実に進む体制を整えています。各工場のリーダーは、担当工場内での省エネ努力をリードするとともに、工場間での情報交換、ベストプラクティスの共有に力を入れています。
また上記のような取り組みに加え、ボトムアップの観点から各工場の現場の第一線で活躍するオペレーターも省エネ活動に自発的・積極的に参画しており、技術・運転部門一体となった省エネ活動を展開しています。

製造技術本部
エナジーチームリーダー
池之上 俊
(2)データの見える化

現実にどこでどのようなエネルギーが使われているのか?どこに、どの程度のエネルギー改善余地が残っているのか?どのように運転変数を変えたら良いのか?当グループでは、こうした疑問にできるだけ定量的に答えられるよう、「データの見える化」に力を入れています。具体的にはエネルギーにかかわる運転変数の目標値の設定とステータスの見える化を行っており、装置の運転に携わるオペレーターだけでなく、工場長をはじめとする工場の幹部もこうしたデータに触れることが可能です。しかも、データをリアルタイムで把握できるところに、このシステムの特徴と有効性があります。
省エネの実績と改善余地の把握は、毎朝行われています。また、月に一度は、工場幹部全体を集めた会議で結果が報告され、四半期に一度は、会社のトップマネジメントに報告がなされます。こうして省エネに対する意識が、工場全体、さらには全社で共有される仕組みが構築されています。

和歌山工場における省エネ活動例
(3)目標設定と目標達成のための手段の明確化

エネルギー効率の改善には、具体的な手段の特定が不可欠です。どの分野で、どのような対応をしたら、どれくらいの効果があるのかを推計し、それを積み上げることで目標設定を行っています。そして、各対応策には、責任者を定めています。現実の結果と目標とのかい離は、それぞれの対応策ごとに分析され、改善につながる仕組みとなっています。
以上のような取り組みの結果、経営幹部から現場の第一線のオペレーターに至るまで、省エネに対する意識の共有化ができていると言えます。

省エネの取り組みを可能にする組織風土

現実に世界トップレベルの省エネの背景には、これまでご紹介したさまざまな仕組みの他、それを推進する従業員の一人ひとりの技術レベル、意識の高さがあることを見逃すわけにはいきません。当グループは、川崎国際環境技術展で省エネに関する発表を毎年行っていますが、これは本社の技術スタッフではなく、現場のオペレーターが実際の省エネ活動を取りまとめ、自ら発表資料を作成して行っています。
このように技術部門のスタッフだけでなく、第一線のオペレーターも含めた高い技術力とグループ一体となった省エネ活動に対する高い目的意識が、省エネで世界をリードする結果につながっているものと自負しています。

川崎工場 月次エネルギー管理委員会

石油精製プロセスと温室効果ガス

原油はガソリンや灯油、重油などの留分を含む炭化水素の混合物です。石油精製の最初の工程としては、まず常温の原油を加熱炉で約350℃に熱して油の蒸気として、蒸留塔に投入し、沸点の差によって各種留分に分留し、また下流の装置に供給するため、冷却して液体に戻します。蒸留塔で分留された各留分は、さらに下流の装置で加熱、冷却を繰り返し最終的に出荷タンクへ貯蔵されます。これら一連の加熱工程における燃料燃焼によって温室効果ガスが発生します。一方で冷却工程においては未活用の廃熱が発生しますので、この廃熱を最大限活用して、加熱工程における燃料燃焼を最小化する(=省エネルギー)ことで温室効果ガスの発生を抑制することが可能となります。

廃熱回収の徹底により環境負荷を低減

工場における省エネの代表例のひとつである、廃熱の再利用をご紹介します。これは、冷却時の廃熱を無駄なく回収し、その熱エネルギーで原油を温めることで、常温の原料油から加熱する場合に比較して、加熱に必要となる燃料量を削減するものです。この結果、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。同様に廃熱の高度活用方法として、「装置間の相互熱利用(ヒートインテグレーション)」もあります。
また、高効率機器の採用やコンピュータ高度制御も、工場の省エネ、ひいては環境負荷低減に貢献することができます。例えば高効率機器の導入により、必要エネルギーを削減することで結果として加熱工程の燃料消費を抑制し、温室効果ガス排出量を削減することができます。
こうした一つ一つの活動は小さなものですが、これらを積み重ねることで、年間5万トンの温室効果ガス排出削減を目指しています。工場において、効率追求は地球環境の負荷低減と直結しているのです。

廃熱未回収システム
廃熱回収システム
  • 国立環境研究所のデータをもとに算出

取り組み事例

2016年4月に当グループ千葉工場では、最新鋭のミックスキシレン回収装置を竣工しました。一般的に当該装置は、2つの蒸留塔と、それぞれの蒸留塔の付帯設備として加熱器・冷却器が必要とされますが、当グループでは分離壁が設置された最新型蒸留塔を採用することで、2搭分の蒸留機能を持つ1つの蒸留塔として建設しました。
蒸留塔、加熱器・冷却器の数を減らすことでエネルギー効率が高くなり、処理工程に必要な燃料消費量、ひいては温室効果ガスを減少させることが可能になります。また、当該装置の廃熱は、既設の別装置の加熱熱源に利用できるように設計されており、非常にエネルギー効率が高く、環境に配慮した装置です。